
玉ねぎが甘くなる理由
玉ねぎというと辛い印象がありますが、炒めるととっても甘くなりますよね。
何故あれだけ辛かった玉ねぎが火を通すと甘くなるのでしょうか。
まず生の玉ねぎが辛いのは辛味成分である硫黄化合物(アリシン)を含んでいるからですが、火を通すことでこの辛味成分が何らかの形に変性するからだと考えるのが一般的です。
玉ねぎに含まれる硫黄化合物は加熱に弱く、火を通すと揮発したり、分解されて消失してしまいます。
ですから玉ねぎを炒めると辛味が無くなるのですが、では何故甘くなるのでしょうか。
これは玉ねぎに元々含まれている糖質が辛味成分が無くなることで感じられるようになったと考えられます。
実は辛味ばかり目立ってしまう玉ねぎですが、糖質の含有量は一部の果物に匹敵するほど高く、野菜の中でもトップクラスで元々甘い野菜なのです。
玉ねぎを長時間炒めると「飴色玉ねぎ」が出来ますね。飴色玉ねぎはカレーを美味しくすることで知られていますが、多くの西洋料理に旨みやコクを出すために使われています。
長時間火を通すことでさらに甘味が増すのは、水分が蒸発して甘味が凝縮されるのと、玉ねぎの糖質が変化してカラメルやメラノイジンという成分が生成されるからだそうです。
飴色玉ねぎが茶褐色になるのはカラメルのせいだったのですね。
玉ねぎがカレーの味を決める
玉ねぎを使った代表的な料理にカレーがあります。
玉ねぎを入れ忘れると、何か物足りないカレーになったりしませんか。
玉ねぎがカレーに与える影響は絶大です。
また切り方や、玉ねぎを炒める時間によっても、カレーの味やコク、香りも大分変ってきます。
多くの方はスパイスからカレーを作ることは無いでしょう。
市販の即席カレールウを使うと思いますが、その場合も玉ねぎにこだわって作ることで美味しさは格段にアップします。
なお玉ねぎからもたくさんの水分が出てくるので、お水を使わずにカレーを作ることも出来ます。
その場合は玉ねぎをたっぷり入れてください。
4人前なら玉ねぎ5個は入れても良いと思います。
ちなみに切り方ですが、玉ねぎは基本カレーに溶けてしまうので、みじん切りで良いかと思います。
みじん切りにした玉ねぎをしっかり炒めれば炒める程、辛味が消え、甘味やコク、まろやかさ、ロースト感がアップしていきます。
まろやかでこくのあるカレーを作りたかったら、玉ねぎが飴色、きつね色になるまでしっかり炒めると良いでしょう。
目安としては40分から50分、玉ねぎを炒めると旨みが最大限出てきます。
かなり時間はかかりますが、やるだけの価値はあると思います。
個人的には中村屋のカレーに似てるなあという印象を受けました。
逆にシャキシャキ感を残したかったら、玉ねぎは粗く切り、短めに炒めてください。
玉ねぎをしっかり炒めてオニオンスープを作る
玉ねぎは生で食べても良し、炒めても良し、色んな食材に合う万能野菜ですね。
他の野菜と異なる、特筆すべき点は硫黄化合物が含まれていることです。
玉ねぎの独特な辛み成分であり、玉ねぎを切ったときに目や鼻を刺激する物質です。
ちなみに玉ねぎに含まれる硫黄化合物は硫化プロピルと呼ばれる成分で、他のにんにくやにら、生姜など同じように硫黄化合物を含む食べ物にも含まれておらず、玉ねぎ特有の成分なのです。
この硫化プロピルは血液中のグルコースなどの糖質の代謝を促進するため、血糖値を低下させ、糖尿病の防ぐ上で有効な成分とされています。
ちなみにこの硫化プロピルを摂取するには玉ねぎを生のまま食べなければなりません。
とはいっても硫化プロピルは加熱して完全に効果が失われるわけではありません。
玉ねぎは酸化させたり加熱させると、トリスルフィドという成分に変わります。
このトリスルフィドは血中のコレステロールを分解して、コレステロール値を下げる働きが高いのです。
ですからトリスルフィドを摂取することで血液がサラサラになり、血圧の低下、血栓ができるのを防ぐ効果があると言われています。
そのため、高血圧を防ぎ、動脈硬化、脂質異常症など生活習慣病の予防にも最適な野菜なのですね。
ちなみに玉ねぎを切るときは繊維に対して垂直に切った方が良いのをご存じですか。
繊維に垂直に切ることで酸化が早まり、トリスルフィドという成分に変化しやすくなります。
良く加熱すると血液サラサラ成分が失われると言いますが、トリスルフィドにも血行を促進する働きはありますから、ご安心ください。
さらに長時間加熱するとセバリンという成分に変わりますが、血液サラサラ効果は変わりませんし、辛味もなくなりますので、玉ねぎの辛味が苦手という人にもおすすめです。
さてこのセバリンを上手に摂取する方法、それがオニオンスープです。
玉ねぎを繊維に垂直に切ったらフライパンにバターを入れ、しっかり炒めます。
しっかり炒めると玉ねぎが茶色くなってくるので、水を加えて弱火で煮ていきます。
沸騰したら小まめに灰汁を掬い、塩、コショウ、それからコンソメを加えます。
玉ねぎがほろほろと柔らかくなったら、オニオンスープの完成です。
味はお好みで調整してくださいね。ベーコンを入れてもさらに美味しくなります。
玉ねぎの栄養成分には水に溶けやすい成分もありますが、スープにすれば溶けた栄養素も摂取出来ますから、栄養満点ですね。